明暁東　中國國家発展改革委員會発展戦略和計畫司元一級巡視員、

中國駐日本國大使館元公使參事官

　2016年末、〈中國都市総合発展指標(biāo)〉（以下、〈指標(biāo)〉）が発表されたことを受け、私は大変嬉しく思った。當(dāng)時、私は在日中國大使館に勤務(wù)していた。東京経済大學(xué)の周牧之教授が同指標(biāo)に取り掛かる段階から、私は同研究の方向性や指標(biāo)の選定について非常に注目していた。というのも、私の中國國內(nèi)における勤務(wù)先は、中國の新型都市化の戦略や計畫を主管する部署であるからだ。具體的な指標(biāo)を用いて都市発展を定量的に分析することは、中國の都市発展や都市化戦略を研究する上で、斬新なツールになると思い、私は周教授にメールで、〈指標(biāo)〉が正式に発表されたことへの賞賛、そして〈指標(biāo)〉が都市の総合評価における國際標(biāo)準(zhǔn)になることへの期待を伝えた。2018年春、中國に帰國する際、私は周教授に「〈指標(biāo)〉の作成を継続し、毎年更新するようにしては如何か」と提案した。実は、周教授はすでにそのように進(jìn)めていた。現(xiàn)在、〈指標(biāo)〉の第1弾が公表されてから4年が経過し、〈指標(biāo)〉の第4弾（2019年版）が正式に発行される運びとなった。

　〈指標(biāo)〉は、中國都市の発展に焦點を當(dāng)てたもので、297都市を?qū)澫螭趣筏皮い搿￥长欷槎际肖稀⒅袊韦工伽皮蔚丶壥肖瑜婴饯煲陨悉味际校ㄈ毡兢味嫉栏hに相當(dāng)）をカバーしている。〈指標(biāo)〉は、環(huán)境、社會、経済の３つの軸から、27の小項目で191の評価指標(biāo)を用いて、297都市の経済発展、社會進(jìn)歩、環(huán)境改善を體系的に分析?評価している。これらの191の評価指標(biāo)は、878の基礎(chǔ)データによって支えられている。〈指標(biāo)〉では、膨大な情報量で中國の主要な開発戦略および新型都市化関連政策の実施狀況や、都市発展における多くのメカニズムを発見し検証できる。最近、私は〈指標(biāo)〉を注意深く研究し、多くの有益な発見を得られた。

　１．データと現(xiàn)狀

　〈指標(biāo)〉のデータを総合的に分析すると、近年の中國の都市発展におけるいくつかのシナリオが見えてくる。

図　2019年中國都市GDP、DID人口、製造業(yè)輻射力ランキング　トップ30

　(1) GDPランキング

　4度の発表にわたりGDPランキングとDID（人口集中地區(qū)：Densely Inhabited District）ランキングのトップ30都市の構(gòu)成は基本的に安定している。特にGDPトップ10都市は、上海、北京、深圳、広州、重慶、天津、蘇州、成都、武漢、杭州で、2016年から2019年に至るまで、年次によってわずかに順位が入れ替わるものの、10都市の顔ぶれ自體に変化はなかった。地理的な分布を見ると、これら10都市は、京津冀（北京?天津?河北）、長江デルタ、粵港澳大灣區(qū)（広東?香港?マカオ）、長江中上流地域に位置し、2019年のGDP総額は國家全體のGDP総額の23.2%を占める。これらは、世界経済との関わりの深い成長地域である。

　GDPトップ11～30都市は、主に中心都市であり、その地理的な分布特徴も明らかである。例えば、鄭州と西安はそれぞれ中原と関中に位置する中心都市であり、済南、青島、煙臺は山東半島メガロポリス、長沙は長江中游メガロポリス、大連は遼中南メガロポリス、福州と泉州は福建省沿岸部メガロポリス、長春はハルビン?長春メガロポリスの代表都市である。GDPで見ると、これらの都市は顕著な雁行型発展の構(gòu)図を示している。

　(2) DID人口ランキング

　〈指標(biāo)2019〉のDID人口ランキングからは、トップ30都市はGDPのトップ30都市と相似度が高く、異なるのは5都市のみである。人口の集積は経済の集積と高い相関関係があることが伺える。2017年と2019年のDID人口ランキングを比較すると、トップ30都市の顔ぶれは変わらないが、順位には変動がある。上海、北京、広州、深圳はトップ４を維持し、成都、南京、杭州、泉州、福州、鄭州、昆明、済南、長沙は順位を上げ、天津、瀋陽、西安、寧波、汕頭、合肥、青島、無錫、長春は順位を下げた。これらの変化は、東部のメガシティが引き続き強い集積能力を維持していることを示し、中部?西部地域から沿岸地域への人口移動が進(jìn)み、中西部および?xùn)|北地區(qū)では外部へ人口が流出すると同時に地域の中心都市にも人口が集積しつつある。

　(3) 人口流動分析

　〈指標(biāo)〉の「人口流動」指標(biāo)から、2019年における人口流入のトップ10都市は、上海、深圳、北京、東莞、広州、天津、佛山、蘇州、寧波、杭州で、人口流出のトップ10都市は、周口、重慶、畢節(jié)、富陽、信陽、朱馬店、南陽、商丘、遵義、茂名となっている。 2016年と2019年における人口流入都市と流出都市の規(guī)模?順位の変化を比較すると、中國の流動人口の規(guī)模が変化していることがわかる。流動人口のデータと照らし合わせると、以下のような人口移動の特徴が見えてくる。

　まず、流動人口の規(guī)模が減少している。2016年から2019年にかけて、中國の流動人口の規(guī)模は、2016年の2億4,500萬人から2019年の2億3,600萬人へと、年々減少している。

　2つ目は、都市間の流動人口の割合が増えたことである。人口流入?流出都市とDID人口ランキングの変化を総合的に分析すると、農(nóng)村から都市へのパターンより、都市から都市への人口流動の割合が継続的に増加していることがわかる。2019年に県庁所在地や市區(qū)から流出した割合は45.1％で、前年より6ポイント増加し、急速な増加傾向を示している。

　3つ目は、人口流動の方向が多様化していることである。中國における人口流動の一般的な傾向は、中西部地域?東北地域から東部沿岸地域へと向かうベクトルである。しかし、人口流動データを見ると、近年、中西部?東北地域における一部の中心都市ではDID人口が大きく増加しており、地域內(nèi)の人口が中心都市へ集約していると同時に、中西部に人口が還流し始める兆しすら見える。